kyokotada: 2008年3月アーカイブ

 会社設立から1年半、スタジオオープンから1年経って、この頃やっと自分の定休日を作れるようになった。
 2年以上も仕事漬けで、大分疲れもたまり、週に1日でもゆっくりできそうなお休みができたことを喜んだのだが、いざ休みとなると何をして良いやら思いつかず、ただうろうろ家の中を片付けたり、洗濯をしてみたり、正直ちょっと困ってしまった。
 仕事場にいるのと比べ、時間の経つのが遅いこと、そして1日の長いこと。夕方になっても、「まだこれから夜がある」と呆然とした。
 先日、スーパーバイザーのアドバイスで、ライフワークについて考えてみた。
 私は最終的に何をやりたいのか。
 結論は、「学問をしたい」であった。
 これまでも、音楽書の執筆などにあたり、膨大な量の専門書を読み込んできたが、自分の携わるジャズとボーカルと音楽史をとりまとめて研究してみたいと思いつき、ひとつのテーマが見つかった。

 そうなってお休みを迎えたら、たった1日が嘘のように充実した。
 BSハイビジョンでは、舞台監督、映画の脚本家、クラシックのピアニストがそれぞれご自分のテーマで仕事を語り、生活ぶりを見せるドキュメンタリーが放映された。方法論や境遇は様々なれど、いずれも、共感できるところが随所にあり、安心したり励まされたり。
 その合間に、以前から親しんできた若桑みどりさんの美術史を読めば、メモしておきたい名文句数多く、しかも、このところ手がけていたチェンバロの原稿とリンクするマニエリスムやバロックの美術史解説がさらに興味深く、幾度も一人で「わぉ」と声を上げてしまった。
 成功している人々には、私がぶちあたるような、凡庸とも言える苦労など無いように思いこみがちだ。けれども、クリエイトする人間の日常の精神はどれも似ていて、その軌跡や細部が見事に伝わり、共感できることに幸福を感じた。
 アイディアは、形になってみて初めて、それが新しいアイディアであったことを証明できる。私ごときの思いつき、と自らを侮るなかれ。もしかすると、ひょっとする??
 これから選ぶ仕事は、それぞれが支流となり、ライフワークのテーマという大河に注ぎ込むことになるかも知れない。というか、意志的にそうしなくてはならないだろう。
 どうやら人生には、「時期」というものがあるらしいのだ。 

このアーカイブについて

このページには、kyokotada2008年3月に書いたブログ記事が含まれています。

前のアーカイブはkyokotada: 2008年2月です。

次のアーカイブはkyokotada: 2008年6月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。