音楽: 2010年8月アーカイブ

 夕べ遅くに、金澤英明君から電話があり、「月夜の旅」のメンバーとツアーするうち、持参していったCDが全部売れた、とか。「明日まだ九州で1カ所あるけど、CD無くてどうしよう」と言うのである。残念ながら、こちらから出張して届けるしか手が無く、それだと売り上げ全部くらい出張費がかかってしまいそうなので、チラシだけ撒いてきて下さい、とお願いした。

 「月夜の旅」では、芸大音高のパーカッション科で将来を嘱望される天才ドラマー、18歳の石若駿君が初レコーディングで参加している。

 

 「月夜の旅」の前に作った、「佐山雅弘RED ZONE」には、デビュー前の寺久保エレナちゃんが参加している。このアルバムは、昨年夏のライブ・ツアーのために制作した記念盤のミニ・アルバムで、一般流通はしていない。エレナちゃんは、その後、現役高校生アルトサックス天才少女としてメジャーデビューし、9月初頭の東京ジャズにも出演が決まっている。デビュー以来メディアの露出がとても多いので、何かと問い合わせが多い。最初は300枚くらい作ればいいよね、という程度のノリだったのだが、追加で数回プレスした。

 ちなみに、駿君とエレナちゃんは、ともに札幌のジュニア・ジャズ・スクールの出身。とても仲良しである。

 

 そして、ZoolooZである。何度聴いても「ほんと良いアルバムだなあ」と感心するのだが、ジャンル不詳ということでプロモーションが今ひとつうまく行っていない。

 ジャズの人、スタジオ系の人、ツアー系の人、と色々なジャンルに跨っているのが販売となると困るらしいのである。ロックでもなく、ジャズでもなく...。

 私は、ジャズだと思っているが、プレイヤーが加藤以外ジャズ畑の人でないのでジャズの棚には入らない、とやら...。

 そうか、それでは無理矢理フジロックかライジングサンに出るしかないな。来年の夏は、野外専門バンドとして売りだそう。

 野外専門爆裂バンド、買ってくれる先を知っていたら、ぜひご紹介下さい。

 

 そして来る8/25には、多田誠司The MOST10周年記念アルバムが発売となる。これは前評判がすごい。Jazz Lifeはじめ色々な雑誌に採り上げられている。8/30()六本木STBでアルバム発売記念のライブコンサートがある。私とスタッフ鴨下は会場でCDを売りまくる予定。ぜひ、聴きに来て下さい。そしてたくさんご購入下さい。よろしくお願いします。

 

 以上、宣伝とお願いでした。

 鴨下は、「蚊に吸われないのは有り難いことですが、フジロックの会場で、蚊ではないやっかいな虫に刺されました」

 と答えた。

 蚊だけが避けるタイプの「血」らしかった。

 

 鴨下は常々「夏フェスに行くために働いている」と、社長の前で豪語する。

 毎年、夏フェスふたつ、および、年によってみっつと、今年は上海とパリにも行く予定だと言うが、薄給の当社にいるにしては異常に羽振りがよく、心配である。

 

 夏フェスといえば、昨年あたりからお客が随分減っているそうである。

 スポンサーも減り、バンドも減り、聴く人も減り、そろそろ規模が狭まる潮時なのだろうか。

 フェスの数もうんと増えた。

 一度にたくさんのバンドを見られるという楽しみ方も良いと思うが、それでお腹がいっぱいになって、1年に1回しか音楽を聴かなくなる可能性もある。

 

 しばしば、近場のライブに足を運ぶのも良いものなのだが。

 それが、ライブハウスの客足も、今年に入ってめっきり減ったと聞いている。

 不景気、と言ってしまえばそれまでなのだが...。

 ライブで生活しているジャズのプレイヤーのことを思うと、この流れ、どうにかできないものだろうか、と思う。

 わざわざ出かけて音楽を聴きたい、と思うほど、精神的な飢餓感が無いのかも知れない。

 家にいれば、空調が効いた部屋で、酒もつまみも、ハイビジョンのテレビもある。ある人は、「ライブだと友達とお喋りができないからつまんない」とも仰った。

 ライブハウスは、どこも大変な状況だ。

 希望があるとすれば、聴きたい人より演奏したい人が増えている、という点。出たい人が満載なら、箱貸しは大盛況である。

 しかし、プロの音楽家を大切にしようとすれば、これまで培われてきた、ライブハウスの営業システムでは、ペイしない状況になっている。

 別のシステムを考えないと、プロの演奏を主体にするライブハウスは、設備を削るか、アクセスの悪い場所でひっそりやるか、閉店するしか無くなってしまう。

 本来ライブは、30100人くらいのキャパシティのハコで、そのサイズに合った音楽をやるのがベストだ。

 現在のライブハウスは、複数のバントをブッキングして、それぞれに集客のノルマを課して回収するタイプと、レストランとして営業し、それにチャージを乗っけるタイプとがある。

 前者は、とにかく数を入れる方式で、アマチュアのバンドが主体。後者はひとりのお客さんからたくさん頂くタイプで、店が都心にあれば、客単価は¥5,000¥15,000くらいになる。大変贅沢な遊び。

 いつも思う。そういうのとは、別のタイプのライブハウスはできないものだろうか。程良い価格で良い音楽が聴けるような。

 ああでもなくこうでもなく、と考え続ける。

 自分が経営したいわけではない。

 そうではないのだが、プレイヤーたちが気持ちよく演奏できる、ハコのお陰で良い演奏ができたと思える店が存続できるシステムについて、延々考えている。

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