夏フェス...ライブハウス

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 鴨下は、「蚊に吸われないのは有り難いことですが、フジロックの会場で、蚊ではないやっかいな虫に刺されました」

 と答えた。

 蚊だけが避けるタイプの「血」らしかった。

 

 鴨下は常々「夏フェスに行くために働いている」と、社長の前で豪語する。

 毎年、夏フェスふたつ、および、年によってみっつと、今年は上海とパリにも行く予定だと言うが、薄給の当社にいるにしては異常に羽振りがよく、心配である。

 

 夏フェスといえば、昨年あたりからお客が随分減っているそうである。

 スポンサーも減り、バンドも減り、聴く人も減り、そろそろ規模が狭まる潮時なのだろうか。

 フェスの数もうんと増えた。

 一度にたくさんのバンドを見られるという楽しみ方も良いと思うが、それでお腹がいっぱいになって、1年に1回しか音楽を聴かなくなる可能性もある。

 

 しばしば、近場のライブに足を運ぶのも良いものなのだが。

 それが、ライブハウスの客足も、今年に入ってめっきり減ったと聞いている。

 不景気、と言ってしまえばそれまでなのだが...。

 ライブで生活しているジャズのプレイヤーのことを思うと、この流れ、どうにかできないものだろうか、と思う。

 わざわざ出かけて音楽を聴きたい、と思うほど、精神的な飢餓感が無いのかも知れない。

 家にいれば、空調が効いた部屋で、酒もつまみも、ハイビジョンのテレビもある。ある人は、「ライブだと友達とお喋りができないからつまんない」とも仰った。

 ライブハウスは、どこも大変な状況だ。

 希望があるとすれば、聴きたい人より演奏したい人が増えている、という点。出たい人が満載なら、箱貸しは大盛況である。

 しかし、プロの音楽家を大切にしようとすれば、これまで培われてきた、ライブハウスの営業システムでは、ペイしない状況になっている。

 別のシステムを考えないと、プロの演奏を主体にするライブハウスは、設備を削るか、アクセスの悪い場所でひっそりやるか、閉店するしか無くなってしまう。

 本来ライブは、30100人くらいのキャパシティのハコで、そのサイズに合った音楽をやるのがベストだ。

 現在のライブハウスは、複数のバントをブッキングして、それぞれに集客のノルマを課して回収するタイプと、レストランとして営業し、それにチャージを乗っけるタイプとがある。

 前者は、とにかく数を入れる方式で、アマチュアのバンドが主体。後者はひとりのお客さんからたくさん頂くタイプで、店が都心にあれば、客単価は¥5,000¥15,000くらいになる。大変贅沢な遊び。

 いつも思う。そういうのとは、別のタイプのライブハウスはできないものだろうか。程良い価格で良い音楽が聴けるような。

 ああでもなくこうでもなく、と考え続ける。

 自分が経営したいわけではない。

 そうではないのだが、プレイヤーたちが気持ちよく演奏できる、ハコのお陰で良い演奏ができたと思える店が存続できるシステムについて、延々考えている。

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このページは、kyokotadaが2010年8月 6日 15:06に書いたブログ記事です。

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