発表会は無事終了。
ただし、前々日から熱が出たため、司会→歌→司会→歌...の連続はこたえた。今も咳と声嗄れが残っている。
発表会の翌日は、友人のヴァイオリニスト、会田桃子さんのタンゴバンドを聴きに九段会館へ。
桃ちゃんとは、ライブでご一緒したり、レコーディングでスタジオを使って頂いたり、何かとお会いするご縁がある。
タンゴバンドは、ヴァイオリン2、バンドネオン2、ピアノ、ベースの6人編成。オリジナルとタンゴの名曲の新アレンジを聴かせてくれた。
とにかく「素晴らしい」演奏だった。一人一人の精進、謙虚さ、そして大胆さ、緻密さ、情緒など、多くの面で大変高いレベルにある。ゲストの歌手、フリア・センコのエネルギッシュな歌も最高。早速発売されたアルゼンチン録音の新譜を購入し、誘った友人にもプレゼントした。
若いミュージシャンは、私達の時代と較べると倍の努力をしている感じがする。そしてそれが、爽やかだ。私達は、音楽に専心する環境がなかなか整わなかったので、音楽をしながら、他の様々なことも平行してやらざるを得なかった。しかし今では、音楽を志すということにそれほどの偏見が無く、真剣にやっていれば応援する人も多い。
何より、高等教育を受けてから留学するなどして、自分の目指す音楽を学び続ける姿勢が素晴らしい。桃ちゃんと相棒の菜穂子さんが率いるタンゴバンド「オルケスタ・アウロラ」は、アルゼンチンだけでなく、南米で徐々に有名になりつつある。
今回のリサイタルでは、アルゼンチンでのタンゴダンスコンテストで優勝したペアが踊った。ペアの女性は日本人。この踊りがまた素晴らしく、踊りとバックの音楽の完璧に近い完成度に、私は思わず「人間ってすごい」と呟いてしまった。
クラシックのオーケストラも素晴らしいが、しばしば、演奏している彼らの熱が低いと感じられることもある。仕事っぽい、というか...。
しかし、このタンゴバンドのように、メンバー全員が愛する音楽の構築と理想に賭けている場合は、そもそもの出音が違う。熱い想いがある。
コンサートの帰り、立寄った居酒屋は、偶然、メンバーが打ち上げに来る店でもあった。そこで、桃ちゃんと再会を祝し、讃辞を伝え、CDにサインをもらった。
彼女とオルケスタ・アウロラはきっと、日本と南米を結ぶ架け橋として重要な存在となるに違いない。素晴らしい才能がすくすくと伸び続けますように、陰ながら応援していきたい。
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