土曜日は、ミッド・タウンの美術館21-21のトークシリーズに出かけた。
今回は、デザイナーの皆川明さん。
何年か前に、テレビで拝見して、とても印象深く、機会があったらまた話しが聞きたいと思っていた。
テキスタイルのデザインをPower Pointで流しながらの講演。
「美は無限で、用は有限」など、深く素晴らしいコメントがたくさんあった。
子育て期間中、子どもたちが成長する過程で、次々と発売されるゲーム機器やソフトを見ながら、このエスカレーションはどこまで行くのだろうと案ずる一方で、人間の感性や耐性には限界があるはずだから、いつか停滞するか、方向転換が起こるのだろう、と感じていた。
我が家の子どもたちは、ゲームより音楽ライブやスポーツに熱中した。学校のクラスは、「ゲームを中心に暮らす子」と「それ以外に興味を持つ子」に分かれていたように思う。
このゲームに感じたエスカレーションと同様の危惧は、生活の多くのことに対しても起こっていた。
経済商品や過剰な機能やサービス、仕事のシステムやメディアに感じられるもの全てに。
結局、一度は新しい刺激に驚喜する人々も、いつか疲れて飽き、自然に近い状態に振り戻って、平安を求めるようになるのだ。
長い間、複雑で難解な方向へと向かうのが、進歩や発展と感じられてきたが、逆に、よりシンプルに分かりやすい方向へと向かうのも、別な形の進化だろう。
そしてその進化は必ず「美しい方」へと向かうはずなのだ。
これまで見たことのなかった美しい一枚の絵、というものが、進化か否かを問わず、とにかく現在の私にとって貴重なものであることは、言うまでもない。
そしてその絵に感動することは、自分にとっては感性の進化だと言える。