会った人: 2010年7月アーカイブ

 ブルーノート・トウキョウに、レイラが来た。私が歌手に成り立ての頃、大好きだったダニー・ハサウェイの愛娘。

 ジョー・サンプルとの素晴らしいアルバムを聴いて、本来の方向性はどんなかな、と気になっていた。

 アルバムはいつも、プレイヤー自身の欲求よりかなりポップに作るものだから。ライブでは、その奥行きの全貌が顕わになるはず。

 初日の2セット目ということで、音はやや固くはじまり、次第にこなれてくる。ベース、ドラム、ギター、キーボードの4リズムで、ごくオーソドックスなバッキング。キーボードはフェンダーのローズを基本に、ヤマハのRXとウーリッツァー。

 レイラは、深く低い声が魅力だ。 決してシャウトせず、ダイナミクスよりはテクニック勝負である。スキャットの内容の充実が素晴らしい。全体のサウンドも、必要最小限の音。徹底したセレクトと抑制の利いたアンサンブル。

 ベースがとくに面白い。半拍も遅れてるくらいの重たいビート。それでも推進力はあり、その不思議なビート感が心地良い。

 時代はここまで落ち着いたのね、という感じだった。

 成熟ということでいえば、ブラックミュージックは、公民権運動とモータウンサウンドを経て、巨大ビジネスがもたらした疲弊を、じっくりと知性で回復しようとしている様相。

 ラップは、かつてのプアーホワイトたちが奏でたカントリー・フォークと並ぶ詩の世界を完成させ、ジャズは、確立した音楽スタイルがアカデミズムに昇華されて世界に流布している。

 

 ライブといえば、総立ちで飛んだり跳ねたりはもう飽きた。

 だからといって、座ったきりで寝てしまいそうなのもどうかと思う。

 

時には立ち上がって身体を揺らしもするが、座って聴いても充分心地よい。

内容が伝わる、浸みる、そういうライブをじっくりとやってみたい。

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