つぶれゴキちゃん

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 私は平気なんであるが、ゴキブリが死ぬほど嫌いという人が大勢いる。
 ある女性とエレベーターに乗った途端、彼女の顔が真っ青になり、唇を震わせているので、驚いた私が「気分でも悪いの?」と訊くと、震える指で床の小さいゴキを指した、というようなこともあった。

 北海道にはゴキはいないので、大学入学で上京した折りに初めて遭遇した。
 はじめ、カブトムシが飛んでいると思った。
 床に下りたら平べったい。
 でっかい変な虫だ、と思って「これなーに」と言うと、そこにいた人々、私を見つめて「触っちゃダメ」と怒鳴った。
 それこそが悪名高いゴキブリである、と知ったのはその時であった。
 幼い頃には、トンボだのチョウチョだのバッタだのコオロギだのとりまくり、飼ってみたら共食いなどしたりして、虫の汚い様子は色々見知っていたが、ゴキに関しては無知。刷り込みがないからなのか、未だにその気味悪さってものが全然実感できない。
 ゴキブリホイホイを仕掛けておき、上手くとらまえていると、ウヒヒと嬉しくなってふたを開けてじっと観察してしまう。

 しかし、やはりあれは触ってはいけない。
 油虫と言うだけあって、かなり脂ぎっている。

 さっき、ある書類をFAXした。
 同じものを2件に送った。
 その原稿をふと見ると、小さいゴキが潰れてへばりついているではないか。
 ゴキはFAX・コピー機の中に潜んでいたらしい。
 夕べは寒かったから、中で暖をとっていたのだね。
 眠り込んだところに、いきなり紙が流れてきて否応なく潰れてしまった。
 しかも、その死は、2件ものゴキ大嫌い人間の元に、型押しとなって送られてしまった。
 受け取った2人、卒倒するかも。
 済まなかったね。
 もう、取り返しがつかないのよ。 

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このページは、kyokotadaが2004年10月31日 12:01に書いたブログ記事です。

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