ZoolooZ に至る長い道のり
私がプロデュースしたユニット、ZoolooZのレコ発ライブ、7/15日に、吉祥寺のMANDALA-2で、いよいよございます。
私は18歳で、大学に通うため、単身北海道の田舎から東京に出てきた。田舎は、人口2万人くらいの余市町、というところ。
通っていた小樽の高校では、混声合唱団に青春を捧げていたが、一方で、軽音楽部にも出入りし、フォークのオリジナルを歌ったり、極端にピアノの上手い同級生とジャズのデュエットをやったりしていた(この、極端にピアノの上手い同級生は、松田真人君といい、作編曲ピアニストとして活躍、多分現在は谷村新司さんのバックアップをしている)。
大学では、ジャズ研に参加。そこには、たまたまだったようだが、目を瞠るような凄腕が何人もいた。中のひとりがギターの加藤崇之。
ちょうどライブハウスができはじめた頃だったので、在学中から吉祥寺のライブハウスで仕事を始めた。その頃に知り合ったのが、佐山雅弘、金澤英明、北島直樹、野力奏一、斉藤クジラ誠さんたち。そのうち、フュージョンブームが来て、ツアーやスタジオで活躍する人々からも声がかかるようになる。
周囲にいたのは、初代スクエアのキーボード、宮城純子、今や売れっ子になっているアレンジャーの武部聡志、他色々な広がりで数え切れないたくさんのミュージシャンたちと演奏した。
何となく、時期によってご縁があったりなかったりしたが、幅広いジャンルにわたる、彼らや彼女たちと若い頃に知り合えたことが、子育てを終えて音楽に復帰した10年前から大切な財産であることが明らかになってくる。
ジャズと他のジャンルのミュージシャンは、活動の仕方が随分違う。
両方を見ている私としては、「もっと付き合えばいいのに」という気がする。目指すところ、拘るところが違うだけで、同じ音楽好き。上手く擦り合わせば、素晴らしいコラボができるはずなのに...。
ジャズ・ミュージシャンとは、自分を音楽にする人たち。
技術的にも音楽性も、まず自分がいて、その自分が心地よい音楽に突き進む。1ヶ月の間に、ほとんど15日から25日くらいは毎晩ライブをやっている。お客様の前で演奏する時間は、毎日2〜3時間。練習や先生職を入れるとかなりな時間、音楽をしている。演奏では、即興演奏をしている時間が長いので、自分の中から出てくるものを豊かにする、あるいは、自由に発想する、とりわけユニークに存在する、ということに命がけな人が多い。
ツアーやスタジオ系の人々は、分析や対応力がすごい。多くの音楽スタイルを知っていて、その差を再現する能力がある。ジャズでもボサノヴァでもロックでも歌謡曲や演歌でも、それぞれの音楽が何をどのように組み立てて作ってあるかを知っている。
楽譜を書いたり、初見で演奏する能力が大変高い。
だから私は、ジャズの方たちとライブをするときには、シンプルなテーマを持つ、即興に向いた曲を中心に、自分を丸ごと投げ出して、化学反応のように繰り広げられるコミュニケーションを楽しむこととなる。テンポも、リズムも、大まかにしか指定しない。
スタジオ系の方たちとライブをするときは、アレンジを決め、リハーサルを重ねて、細かにテンポ、リズムパターン、イントロ、エンディングの確認をする。歌もほとんどのフレーズを決めておく。
音楽性は異なっているのだが、それぞれにとても素敵な音楽になる。
ジャズの人は、俗に私達が「しかけ」と呼ぶ、リズムやパターンの決め事が苦手である。そういうものがあると、即興の自由度が削がれるらしい。
一方のスタジオ系の人は、長い即興が苦手である。楽譜に書かれているとすごく上手く弾くが、好きにやって、というとアイディアに困るらしい。それは、作曲やアレンジの仕事でしょ、という感じである。短いフレーズならこちらの人はすごく上手いが、何コーラスも、となるとそうはいかない。
両方の得意なことを、ひとつのバンドでやっちゃいましょうよ、というのが、大変長くなりましたが、ZoolooZの考え方である。
ジャズ・ミュージシャンの中でも際立って自由な、面白くも楽しい発想とアイディアに溢れた加藤崇之。
スタジオ系のアレンジャーの中でも、おたく??と感じるくらいマニアックな松下誠に曲とアレンジの提供をお願いして、アレンジものの演奏経験が長く、さらにライブも結構やっているツアーミュージシャンの多田文信と宮崎まさひろがリズム隊につけば、可能性はとっても広がるのではなかろうか。
凝った曲にアレンジ、体力のあるリズムセクション、ロックとジャズのギターの対比、そしてスタンダードからブラジルものフリージャズまでカバーする加藤のギター。リズムセクションが変われば、ソロの内容も変わる。ジャズのクリシェにとらわれない自由度の高いソロは、不変の安定したリズムに乗る方がはじけるはず。
私の妄想はどんどん膨らみ、ついにレコーディングを完遂。CD発売、配信にこぎつけ、さらにライブを決めた。
このユニットでライブをするのは初めてである。
しかし、レコーディングより、ライブに可能性のあるバンドであることは確信がある。
加藤崇之の描きためたイラストを、ライブの間プロジェクターで照射したいという計画も進めている。
それから、冗談のようなのだが、ZoolooZ豆絞り手ぬぐいなんかも売る予定。
道楽ここに極まれり、であります。
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