変化が読めているかな?

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ツィッターで2種類のTLを作っている。
ひとつは音楽系、ひとつは作家・評論家系。
ふたつのTLの比較が面白いのは言うまでもないけれど、そこからたびたび良い情報がゲットできる。「良い」というくくりには、私が思いもつかなかった「現在」の状況を伝えてくれるがものが含まれる。それこそ、私の仕事や音楽業界にとってびっくりすることだったりもする。

びっくりのひとつは、小中学生にとって、音楽は特にお金を払って聴くものでは無くなってきた、という件。webの中に落ちている音源を、そのままiphonで聴いているとか。彼らにとっては音質などどうでも良いものである、というのだ。そして、生の楽器と打ち込みの音の区別がつかない。音で楽器が判別できない、という件。

もちろん、音楽の微細を聞き取るには訓練や経験が必要で、誰でもできることではないと思う。それにしても、電子楽器と生楽器の区別がどうでも良いことになるとしたら、この先音楽はどうなって行くのだろうか。

出版の世界も似たように変化してきた。私はちょうど、その渦中にいた。はじめは原稿用紙に手書き、家にはFAXも無かったから、近所の知り合いの作家さんに借りていた。
それがワープロ専用機になってフロッピーディスクでMS-DOS変換とかをやらされ、次いでパソコンを買わされてソフトを色々覚えさせられ、その頃、編集やデザインもデジタルのスピードに合わせたスケジュールで動くようになった。

webのコンテンツが多彩になると、画像や動画付きで提供される情報が溢れ、それまで必須だった実用書類もあらかた必要なくなり、様々なジャンルで置き換わりが起きている。

音楽も、いよいよそれらと同じく、置き換わって行く分野が出てきたということだろう。
私が気になるのは、ジャズのこと。ジャズは、デジタルには置き換わりそうにない。ライブがまず何より大事で、そのアーカイブとしてCDがある。けれど、私が関わったこの数年ですら、ショップの棚が半減している。では、配信が良いのかと言えば、それほどでもない。つまり、ライブ会場での手売りが突出して好成績なのだ。

目の前で聴いて感動し、その音を思い出すためにもCDを手元に置きたいと感じてくれるのだろう。ミュージシャンにサインをもらい、握手して近しくなるのも楽しい。1作を1年から2年かけて売るとして、1000〜1500枚が程よい数字。しかしこの数は、書籍の初版の1/3程度でしかない。

ジャズとクラシックは、音楽業界の「基礎研究」部門だ。科学なら、生活に必需でない研究に公費が充てられ、維持される。けれど、音楽の場合はそうも行かない。基礎研究部門は業界の底を支え、各部門に汎用性のある人材を輩出するけれど、そこに価値を見出す慧眼はなかなか無い。どこまで行っても、音楽に対価を支払ってくれるのはファンであり、生徒たちでしかない。

こういった状況の中で、現在の変化を見て、会社をどう回すのが良いのか、日々考えている。かつてなら巨大なマーケットを想定して、嘘ごまかしでも一発当てるという考え方もできたが、マーケットは細分化されすぎて、インフォメーションひとつやるのも難しい。細分したマーケットを各所から集めて、「ちりつも」的な認知度アップを試みるしかない。それは、なかなか骨が折れるし、根気のいる仕事だ。さらに困難なのは、それをやっても費用対効果が見込めないこと。費用をかけただけの伸びは見込めず、マイナスを阻止するだけ、という感じ。

それでも会社をやる意義はあるか否か。
ここで悩むのは、何と何を天秤にかけているか、自分でも時々分からなくなるという点。
私の生活や仕事のやりがい、関わるミュージシャンたちの活動の充実、日本ジャズ界の質の維持、音楽そのものへの使命感などなど。
言葉にして挙げてみると照れるような大上段だが、心の中ではこういうものたちが、それぞれ居場所を求めて自己主張している。
私が止めても、大局的には特にどうということはないのだろうが(面白いアルバムの数が減るくらいで)何年もかけて積み上げてきたものは大事にしたいとも思っている。
止めるのは一瞬でできることだし。

その揺れる気持ち。
つまり、体力的にも気力でも、今まで通りは少し無理かもと思うこの頃。
何を残し、何を削るかしばしば考えている。
時代の変化を読むべきか。それとも、私はアナログ時代から続くこの時代に生きた人として、変化なんか読まんよ、と言い続けるべきか。
しばらく悩みが続くかも知れない。




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このページは、kyokotadaが2013年1月25日 12:19に書いたブログ記事です。

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