生まれた町は人口が2万人だった。
隣町の高校に進学するとそこは人口が20万人で、小さいデパートが3件と映画館もあった。
大学は東京に来て、そこは1千万人以上。
神奈川、埼玉、千葉の首都近県を合わせると3千万人いるそうだ。
2万人と3千万って、どうしても較べられない。
イメージが全然沸かない。
ビッグサイトの展示会などに行くと、ごく限られた業態の人々だけで黒山の人だかり。
人はいるんだなぁ。
それもかなりたくさん。
ライブハウスがどこも経営難だ。
なかなかお客さんが入らない。
毎日、とてもいい演奏をしていても、ちょっと淋しい。
私が若い頃、ジャズ喫茶はどこも満員だった。
少なくとも、私が歌っていた場所にはいつもたくさんのお客さんがいた。
ライブのお店が増えすぎたのかな。
そして、銀座や六本木から社用族が消えてしまった。
でも、それ以外にも色々な要因が積み重なっていると思う。
音楽で生きて行くことが、以前に較べてとても大変になっているらしい。
若い人たちは、才能があっても生活のために音楽を断念するのが普通だとか。
私たちの世代は、固定ギャラの営業仕事を頂けた時期があり、そのお陰でいくらかの余裕が生まれ、そして裕福だった親の世代にも支えてもらうことができた。
つまり、稀なことに、音楽をやろうとして、何とかなった世代なのだ。
それが今は、足場が危ういとか。
街にはとてもたくさんの人がいて、その中にはライブの音楽を聴いても良い、聴きたいと思っている人々もいるはずだ。
ぎゅうぎゅう詰めの電車の、車両に1人ずついたなら、それだけでもう少しお客さんは増えるのではないか。
人の数はあると思う。
日本の人々は、正しく音楽を好んでいると思う。
けれど、私たちミュージシャンは、彼らを思うように音楽の場に誘えない。
何とかしたいな、少しでも。
コメントする