GLAYとEXAILEが一緒に盛り上がっているPVを見て、「なにこれ」と思った。ロッカーとストリート系のダンサーが仲良くて良いのか?という疑問が湧いたのである。
別に、いがみ合って欲しいとは思わないが、それぞれ、自分たちの音楽性やら、ファッション・センスやらにこだわった暁に、今日のスタイルがあるんではないか、と思っていたためである。
すると、ヴィジュアル系バンドのファン歴、すでに10年にならんとする長女が、「いいんだよ、これで」と言う。
彼女は中学生の時から、コアな追っかけさんで、友だちにはGLAYのファンクラブ番号17番という早い者勝ちもいた。はじめは、GLAYだのラルク・アン・シェルで、それからデイル・アン・グレイとかプラスティック・ツリーとか、なんだかんだいろいろあって、現在はナイト・メアというバンドらしいが、とにかく、彼女の中・高校時代は、夜のテレビは全部、テレビ神奈川とかのバンド番組であり、わたしも、その歴史を一応把握してしまうほど、ヴィジュアル系バンドを見せられ、語られて来たわけである。
その娘は、このコラボレーションを歓迎していると言う。
「一体、どういうコンセプトだっちゅうの?」
「これはね、田舎者合戦」
彼女によれば、「俺たち売れたから、一緒にかっこつけっぺ」というのがコンセプトなんだそうだ。
「田舎者が大量に集まってカッコつけてみて、その中でさらに田舎臭いのは誰か、という興味深い見方ができる」
というのである。
たしかに、みんなすごく力を入れてカッコつけてるのだが、ホントに田舎臭いかも。
私自身が田舎者で、GLAYとは同じ北海道出身だから、そんなこと思いながら共感しきりではある。
田舎者はどんなに成功しても、どうしたって都会の人、さらにはセレブリティとは違う。
私も若い頃、散々カッコつけた気でいたが、親の東京在住の友だちの子女、それこそ幼稚園から東京の名門私立にお通いになり、バレエとピアノを習われている同年代の女子に出会ったときの驚きと気後れは、多大なインパクトで私に「分相応」という言葉の意味を教えたものだ。
ただし、どちらかが優位であるとか、より恵まれているとは考えていない。
彼らの土俵で競争原理にまみれようとすれば悔しいことだらけだろうが、そんな土俵はないと思えば、ただ、別の価値観に依拠した人々と考えるだけで済むからである。
そんなことを、ぼんやり想いながら、改めてGLAYとEXAILEを見れば、ファッションの差異なども気にならなくなり、ただ、想定外の成功に恵まれて闇雲に頑張った若者たちが、大挙して仲間確認をしている様子に、微笑ましさを覚えるのであった。