エッセイ: 2006年9月アーカイブ

アメーバ状

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 忙しい。
 忙しすぎる。
 あまりに多彩なことをしていると、頭の中のイメージがアメーバ状になることが分かった。いくつものプロジェクトを平行して進行しているので、脳味噌の中に飛び島のようにいろいろな部分ができて、それがプカプカ浮かんでいる。
 それらは、パソコンの中のフォルダみたいなものであり、必要なときに引き寄せて開くと、ぱーーーっとその世界が展開するのである。
 表立っての私はひとりしかおらず、従ってパフオーマンスの容量はさほど大きくないから、使わないものたちは一時的にでも閉じておかないと取り散らかる。

 自分の頭の中身をパソコンに置き換えてイメージするなんておかしいな。
 でも、コンピュータ、言いかえると「人工知能」の仕組みを考えた人って、先に脳味噌の働き方をシミュレートして、それに基づいて理論を組み立てたはず。
 何年か前にその手の本を読んだことがある。
 と書きながら、突如として、そのように「そういえば読んだ」というような記憶が蘇るのをクオリアと名付けるらしい、ということを想い出した。
 近頃、オーバーヒート気味の脳味噌を冷やすために、お茶の時間などに茂木健一郎さんの小林秀雄賞受賞作「脳と仮想」を読んでいる。
 私の仕事は、音楽を聴く、音楽書を読む、音楽についての原稿を書く、楽譜を書く、ピアノを弾く、歌う、教える、レクチャーする、企画する、事業を進行する、人を手配するなどなどなので、休むときは別ジャンルのものに触れるに限る。

 仕事をする以上に、大切なのは息抜きや休息。
 ペースの配分を間違うと、倒れる。

 でも、息子の弁当作りと洗濯は毎日する。
 すごいね、我ながら。

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