お節介にもいろいろあります

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教えたがり、ということを自覚していたので、長く自重してきたのだ。
もちろん、レッスンはそれ自体が「教える」仕事なので、色々工夫している。
問題は日常で、努めて教えたがりが表に出ないように気をつけている。

私は説教とか蘊蓄とかご託を並べる人が大嫌い。
もちろん、実体験を、こちらの反応を考慮しながら話してくれる人はいい。
こちらが聞きたいポイントを汲み取って、過不足なくコメントしてくれる場合はさらに尊敬。

だが、垂れ流し的に、あれ知ってる、これ識ってるとだらだらやられた日にゃ、席を蹴って帰りたくなる。
私が酒の席が嫌いなのは、それも理由のひとつ。

一見、地味なおばさんなので甘く見られるのか、私からすると中味の無い、下らない話題を延々聞かされたり、駄洒落ばかりの会話に巻き込まれることがある。
時間がもったいなくてお尻がむずむずする。

もちろん、酒の席でも、目がランランとなるような面白い話題ばっかりな場所もある。
ユーモアとか、鋭い分析とか、珍しいエピソードとか。
笑いすぎて、腹が痛くなる。
それもこれも、人によりけり。
何らか、修羅場をくぐった人たちは、やっぱりすごく面白い。

その、面白い系の話をしながら若い人たちに色々なことを教えたいと思うようになった。
それで、Jazz Vocal Cafeという、勉強会を始めている。
先日で1クール終わったが、ジャズの歴史、楽譜やコードの話、アップテンポの取り組み、スローナンバーの取り組み、ボイトレ、アーティキュレーションなど、歴史や文化的背景、音楽理論、リズムの多様性、ハーモナイズ、ピッチ、フィジカルなどについて、ボーカルに必要なことを基礎から詳しく解説する。

ちょうど、私が生きた時代は、音楽産業が最も革命的だった時期。
ジャズもロックも、その周辺の音楽もハイレベルで革新的だった。
次々、聴いたこともないようなアイディアに満ちた音楽が生まれ、カリスマが生まれ、まだ母胎となる前世代のアーティストも生きていて、生で伝説的な人の演奏をたくさん聴いた。

レコード、ウォークマン、CD、i-tune。
レコーディングも、16トラックの分厚いテープを切り貼りする時代から、デジタル、宅録に至るまで、変遷に次ぐ変遷。

学生時代、アメリカ返りの先輩から借りて、聴きまくった現地仕入れのLPレコード。
読みまくった音楽雑誌。
やがて始めたクラシック音楽の勉強と執筆。
手がけるたくさんの種類の音楽。

それらついて、識っているところを教えたい。
これは、私の勝手なお節介だ。
お節介なんだが、強要はしていない。
「良いことだと思ってやる」だけである。
歌うことが好きなだけで座学なんて嫌だという人も多い中、少しずつ「面白い」と言ってくれる生徒が増えてきた。

普段の実技のレッスン中には、時間が足りなくて触れたくても触れられないあれこれを、別なフェーズを設定して、少しずつ伝えている。

私はいつも識りたがりで、「目から鱗」のことがあると大感激するタチだ。
別々の方角からもたらされたことが繋がったときの「やった!」感は格別である。
こういう楽しみ方があったのか、と発見していただけたら、もう他に言うことはない。


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このページは、kyokotadaが2012年5月10日 11:48に書いたブログ記事です。

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