仕事の顔つき

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自由業や自営業には定年がない。
私の年齢では、ほとんどの人がまだ仕事を続けているが、女性の場合は様々な理由で早期退職した人たちがいる。
いちばんの理由は老親や家族の介護。
次に健康や精神的な理由。
いずれにしても、仕事を辞めるにはそれなりの原資が必要で、日銭で暮らしている場合には全く選択の余地などない。

この頃、仕事を減らしている。
私の場合は健康上の理由だが、減らすと気力も無くなる感じがしている。
特に困っているのは、視力で、年末から見えなかった部分は回復したのに、歪みや飛蚊症がしつこく残っている。
そのうちレーザー治療などしなくてはならないだろう。
それだって、もっと派手な外科手術が必要な病に比べれば、それこそ蚊の刺した程度に過ぎない。

人は何のために働くのかと、若い人などは考えるだろうか。
息子は単に生活費を稼ぐには就職せねばならないと、何の抵抗もなく試験を受けて面接を受けて、内定を貰ったり、落ちたりしている。
内定を頂けた会社のランクを、日経の「人気企業ランキング」で確認して、おっ、悪くないぞと呟いたりしている。
それは、私にはとても尊敬できる態度だ。
妄想的な希望を持たない代わり、仕事に対する無意味な絶望や諦念も感じられない。
ただ、これまで先達たちによって蓄積された仕事の一端に着くという決意。
とりあえずはできるだけ大きいところに入ってみて、体験したいという健康な欲求。

私には、その自然体が好ましい。
私の時は、そうはいかなかった。
親の仕事は兄と弟が継いだが、ふたりとも、不平不満文句たらたらで、ついに若くして亡くなったり事業を捨ててしまう結果となった。
私は、罵られ馬鹿にされつつ、自分の好きなことに突き進んだ。
けれどそれも、妙に肩に力が入っていてあまり格好良くない。
固い壁にガシガシぶつかりまくっての後にある今日。
すると、やはり疲労感がどっと来ている。

仕事辞めて、娘たちと孫と暮らしたいなどと夢見る。
孫はまだいないが、人生の仕上げは孫を可愛がることだと決めている。
けれど、会社はとても上手く回っている。
これまで頑張った甲斐があったのか、ご褒美みたいに仕事のオファーが来て、刺激満載。
けれど、身体がなかなか動かない。

そのうち回復するのか、この程度のままか、さらに下降線なのか。
よく分からないが、できることはゆっくりやりつつ、ついにもう駄目という地点まで行くのだろう。
それがどの辺りなのか、ついその辺なのか、ずっと先なのか。

苛酷にすぎて、いつ倒れてもおかしくないくらい懸命に突っ張って生きながらえていた時期からすると、現在からこの先の見え方には大いなる変化がある。
スムーズでなくても、躓きながらでも、まあ、終わりまでてくてく行きましょう、ということで。
仕事に顔つきというものがあるとすれば、以前は夜叉、比べて今は布袋さんみたいな感じだ。
いえ、ギタリストのあの方ではなく、七福神の方。
ぼってりして、やに下がって、無責任な、あの布袋さんのこと。



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このページは、kyokotadaが2012年5月21日 11:40に書いたブログ記事です。

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