ジャズのファン層が変わってきたかな?

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八代亜紀がジャズアルバムを出して話題になっている。
松田聖子もジャズを歌うそうだ。
ここに来て、演歌界の歌手たち、実力発揮せんと様々なチャレンジに及んでいる。
切っかけは、坂本冬美が歌ってヒットした、ビリーバンバンの「また君に恋してる」あたりかな。そして今年に入って由紀さおりの洋楽カバーアルバムの大ヒット。

私の生徒さんには、カラオケファンも数人いて、カラオケの審査会とか大会に出ている。プライベート盤を出しているセミプロもいる。
カラオケの大会には、1回のイベントに数百人が集まる人気。ただし、高齢の方ばかり。
演歌の興業は、このカラオケを自分で歌う、というイベントにお客を取られてチケットがさばけないそうだ。
プロの歌手を見たい人たちは、NHKの無料の公開録画の常連になっている。

そこで、若いファンを取り込もうとしての洋楽やJ-popへの進出が始まった。
天童よしみも、赤坂ブリッツでロックコンサートをやったくらいだ。
歌唱力はあるから何でも歌える、という計算。NHKのSongsという、ひとりの歌手を採り上げての企画でも、必ずオリジナル以外の洋楽を歌わせている。

そこで、長年洋楽をやってきた側から言うと、名を成している歌手の歌は聴けなくはない。けれど、やはり日本語のアクセントだし、ビートだ。
私としては、日本人なりの感性で歌おうとはするけれど、一応英語の歌を歌うからには、またはポルトガル語の歌詞を歌うからには、事細かにその言語のリズム感を勉強してきている。
ジャズのスゥイングなどは、相当長い時間をかけないと身につかない。
だから、彼ら彼女らの歌はやはり付け焼き刃の感が否めない。

では、八代亜紀や秋元順子がジャズを歌うのが嫌かというとそんなことはない。
ジャズといって、即興までには至らず、スタンダードをそのままなぞるだけかも知れないが、それでも、売れている歌手がジャズを歌って話題になってくれるのは有り難い。
スタンダードを耳にしてくれる人が、増えてくれるのは有り難い。
実際、そういうアルバムを聴いて、ジャズに挑戦したいと考える人もいるからだ。

じつは、洋楽の奥は深く、かなりのバリエーションがある。
アメリカのみならず、イギリスのケルト系、ブラジルのボサ、サンバ系、シャンソン系、タンゴ系。
アメリカには、ジャズ、ロック、ソウル、カントリー、ミュージカルを筆頭に多種類のポピュラー音楽がある。
それらを色々勉強している。
おまけにクラシックも。
おまけに日本の歌謡曲、演歌も。
その挙げ句のジャズなので、ひとつの曲に対する取り組みはなかなか奥深くなる。

日本の音楽受容の様子を見ると、カラオケファンが審査会や大会にお金を注ぎ込むように、今では、ロックやジャズのファンも楽器やセッションにお金を注ぎ込むようになってきた。
以前、ジャズというと、海外の著名な演奏家のライブやコンサートに大枚を払い、あたかも拝むように聴き、重箱の隅的知識を集めて蘊蓄を垂れるなど、ただひたすらに有り難がるのが享受の主な内容だったが、さすがにその辺りは卒業し、自分たちの手でその音楽を楽しもう、という時代に入ってきた。

願わくば、趣味で演奏する、あるいは聴くにしても、ジャズくらい難しくないと面白くない、と感じる人々がもっと増えて、ジャズ人口が増え、聴き手の裾野が広くなって、活気が出てくれると嬉しい。
部活で、吹奏楽やマーチングバンドを経験した若者が、次々現場に登場してきている。
ようやく、背広おやじの蘊蓄のためのジャズが終わりそうな気配かも。
だから、ジャズの未来がちょっと楽しみなのだ。

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このページは、kyokotadaが2012年10月12日 12:01に書いたブログ記事です。

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