音楽とCDはイコールでなくなった?

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今日、ツィッターを見ていたら通称オリコン、オリジナルコンフィデンスの音楽CD売れ行きチャートの話題が出ていた。
なんと、暫定ではあるけれど今年11月までのランキングでは、20位までのすべてのCDが
AKB系とジャニーズ系なのだそうだ。それぞれに複数のユニットがあるから軽く10ずつ分け合える?
それにしてもこれって...。

高校生の頃、まだレコード時代だから、小樽市内の「玉光堂」でレコードを買って、それを店のロゴ入りのビニールケースに入れて持ち歩くのが何しろ格好良かった。白地に濃紺のロゴだけのケースだったけれど、それは私たちなりの、「音楽を聴いていまっせ、しかもLP盤で」というどこか晴れがましい行為の一つだったのである。

東京に出てからは、ディスクユニオンとかタワーレコードとかのほかに、吉祥寺の芽瑠璃堂、青山のパイドパイパーハウスとか、もっとマニアックな店も加わって、とにかく、輸入盤のLPレコードは宝だった。

それが今は、20位までがもれなくアイドル系というのだ。
寡占とか画一化というより、買うファンにとってそれは音楽ではないのじゃないかね。
音楽ではなくて、ノベルティグッズみたいなもの。
ファンだから形として一応買っておく、という。

私たちが若い頃、LPは文化情報や音楽の感動が目一杯詰まった宝の箱、つまり「音楽=LPレコード」だったけれど、現在はもうそういう存在じゃないんだろうな。

数週間前の別の方のツィートでは、ミュージシャンをはじめ、若いクリエーターが海外の作品を見ない、聴かないで、国内アーティストを手本にして活動を始めるような状況になってから、国内の作品のレベルが下がっている、という意見もあった。半分くらいは頷ける。

善し悪しは別として、私たちはいつも海外のミュージシャンから学んでいた。どうしたって本家だし、言い出しっぺだし、巧いし、存在感もあるし。
勉強を進めて行くと、クラシックをもつ欧州も、ポピュラー音楽をもつ合衆国も、一つの国、人種では成り立っておらず、複数の宗教、言語、音楽性、リズムなど、それぞれの主義・主張が文化の陣取り合戦的闘いによって発展したことが良く分かってきた。

つまり、ほとんど抗争のようにして成熟してきた音楽の果実を、私たちは棚ぼたでいただいている訳で、そんな態度で演奏して説得力を持たせるのは大変なことだ。大変というか、追いつきようもない、と思わされた。
けれど、ここまでしつこく追いかけ続けてみると、一人の人生というものが結構バックグラウンドを形成してくれることに気づく。それを感じているミュージシャンは、やや救われ気味かな。

そのような、音から紡ぎ出されるあれこれを人生の糧としてきた私にとって、CDはすばらしいミュージシャンたちの存在証明、あるいはアーカイブだ、と信じているので、レーベルしていながら売れ行きにはそれほど拘らないのだが。
メジャーとされる業界のチャートがこうなってみると、音楽は既にCDとイコールではないのだ、ということを実感する。

現実的には、音楽は偏在するものだ。
CDの他にも生の演奏で、テレビやラジオから流れてくるもので、ネットの中で。
偏在する形となった音楽の発信者として、ミュージシャンは、そういうことに慣れて行かなくてはならないのだなぁ。

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このページは、kyokotadaが2012年11月15日 12:27に書いたブログ記事です。

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