アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

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町山智浩さんのお名前は、豊崎社長や小田嶋隆さんの書くもので見知っていたが、この度初めて購入。そして感動。

アメリカには日本の3倍近い人口があり、しかもその内容は、世界中から集まる様々な人種で構成されている。
先日知った事によると、アメリカの軍事費とその他の全部の国の軍事費が同等。
つまり、地球上の軍事費の半分はアメリカの予算。
その上、国内には銃が溢れていて、始終人が殺されている。

最近また、ケーブルテレビでしばしばアメリカのテレビドラマを見ていたため、町山さんの筆力になる「アメリカ合衆国」の描写は、想像を遥かに超えてリアルに衝撃的であった。

かつて、週刊現代に連載されていたものと他の雑誌掲載のコラム、書き下ろしも含めての一冊。ブッシュのしたことが「どんだけ」だったかということが逐一分かる。
そして、大統領が「そんなこと」をしてしまえる国の事情というものも逐一分かるようになっている。

すごいなー、ドラマよりすごいなー。
国そのものがディズニーランドみたいだ。
つまり、フィクショナル。
ひとりずつの人間を構成する要素というものが乱雑で濃い。
まず性別があり、人種的な出自があり、階級があり、宗教的心情があり、性的嗜好があり、その他に思想とか理念とかがあり、それらがぐちゃぐちゃに脈絡なくひとりの人の中にある。日本は、均一の中から異質なものを見つけ出す文化だけれど、アメリカって一対一対応しなくてはならないみたいなのだ。

見出すとはまってしまうアメリカのテレビドラマが優れているのは、事件の「原因」を推理するための要素がこれらの全ててあるからで、それはもう私らとは勝負になんかならない。日本人が抽出する微妙な差異なんてものは「見えないし感じない」程度のものではなかろうか。その個人個人の屹立の仕方。自己主張の激しさ。性欲の旺盛さ。

必ず一対一対応しなくてはならない、得体の知れない人々が繰り広げる政治と経済と戦争など。全く、その剥き出し感は、恐らく地球上の他の場所では決して存在し得ない。
感情面だけに絞って見れば、「幼稚」で「身もふたもない」のがデフォルト。そこに知性とか実績とかを糊塗し続けて造形される人格。
有名人になる人々とは、大衆のあられもない欲求に訴える人材でもある。溜飲を下げるとかガス抜きをするためのパフォーマーを求めるパワーも凄くて、日本のワイドショーとかは上品この上ないんだと今更ながらに気づく始末。

なんか、まとまりがないが、私自身が驚きすぎてとっ散らかっている。それほどのインパクトを持つ町山氏のコラム群である。町山氏が凄いのか、描かれるアメリカ合衆国って国そのものの狂乱が凄いのか。興味のある方は読んでみて。





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このページは、kyokotadaが2013年2月19日 13:39に書いたブログ記事です。

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