この冬は、本当に寒かった。
故郷の北海道では、ブリザードのために数人の方が無くなったほど。
東京も、久々のしっかりした冬。
昨日、リハーサルがあって立川方面の知人宅にお邪魔したら、ウッドデッキのベランダに椅子テーブルが出してあり、そこで存分にひなたぼっこができた。庭にはヨモギが萌え出て、クロッカスも花盛り。「あー、幸せだ」と心から思った。
陽射しは暖かく、辺りはしんと静か。時折軽トラで通りかかるこの辺の地主のケンちゃんに手を振りながら、半睡の午後。
このところ、冬の間は活動を半減させている。遠くまで出かけたり、電車に乗る機会を減らすのだ。グループのレッスンもお休み。できるだけインフルエンザや風邪を広げないよう気をつける。それもこれも私とみんなの喉のため。
とは言え、春には花粉でコンディションが悪くなる。声を出してみるたび、声帯もアレルギーを起こしているのが分かる。だましだまし春を乗り切らねば。
でも、明るくなって暖かくなると、心が弾む。
北海道にいた頃は、根雪が溶けて半年ぶりに長靴ではなく普通の靴に履き替える日が、一大イベントだった。私たちは普通の靴を「短靴」と呼んでた。雪が消えて、舗装面や土が見えた時、そしてその部分が主体となり、雪に覆われた所が部分となった日、私たちは張り切って下駄箱の「短靴」を取り出し、忘れていた感覚を取り戻すように足を入れたのだ。雪とは異なった、足下の感覚。堅く、萌え立つ生命の香りがする地面を感じて、深く息を吸い、暖かくなる季節を歓迎して心の底から微笑んだ。
季節感というのは、厳しい暑さ寒さの合間、息抜きのような時節に、深い印象とともに受け取られるものみたいだ。身体に心地よい日には、自然が私の味方のように感じられる。そして、前向きに「何か」をしたくなってくる。
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