我社は、日本のジャズのアルバムを製造販売している。
小さいレコード会社という訳。
しかし、レコード会社? という気もする。
ジャズ・レーベルと言う方がフィットする感じ。
「CDができるまで」にはこれだけの仕事がある。
ミュージシャンから、「こんなメンバーでこんなコンセプトで制作したい」
というお話が来る。
知っているユニットなら、時期だけ考える。
聴いたことの無いユニットは、ライブに数回出かけてどんな音楽かを聴く。
良いと思ったら、リリースに至る日程を出す。
メンバーのスケジュール合わせ。
流通会社に企画書や日程を出す。
レコーディングする。
ミックス、マスタリングをエンジニアと相談しながら、ミュージシャン立ち会いのもと完成させる。
配信手配。
JASRACなど著作権関係の手続き。
広告やフライヤーのテキスト、コピーを書く。
当社のデザイナーがジャケット案を作る。
ショップ営業用の白盤と当レーベルの新譜紹介ニュース制作、納品。
ジャケット印刷入稿とプレス出し。
完成品の送付先振り分け。倉庫やミュージシャンへ。
広告取材、メディア向けの資料送付。
レコ発ツアー用フライヤー制作。
で、一通り。
私の仕事は、企画と資金調達、そして音に関すること、テキスト関係。
他は、デザイナーがまとめて引き受けている。
普通のレコード会社だと、担当が細かく分かれていたり、外注したりすることをほとんど内部の2人でこなす。
あまりになんでもやっちゃうので、たいてい驚かれる。
でも、こうでないと果てしなくお金がかかるのよ。
さて、今年後半は、私たちの素晴らしいスキルを使って、よりミュージシャンの役に立つ仕事をしようと思っている。
CDを制作すると、かなりの経費がかかり、その経費分CDを売り切らなくてはならない。
これがなかなか大変。
ベテランミュージシャンで、全国にファンのいる人たちなら可能だが、若手には無理だ。
けれど、若いうちの音も録っておきたい。
そこで、CD1枚分の曲数とか、1曲の時間などを気にせずに録音して配信してみる。
録音作品を1曲ずつ蓄積しておいて、必要な時が来たらCD化する。
配信のみで良ければそのまま。
CDというひとつの商品の形を前提とすると、残しておきたくても録りきれない音楽がある。
大変前衛的な物や、未完成の物、野心的な組み合わせなど。
配信なら、これまで実現できなかった面白い録音を世に問うことができる。
それ、ぜひやってみたいのだ。
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