kyokotada: 2018年4月アーカイブ

初めに好きになった音楽は、すでに激しいものだった。
小学生までは、時代も時代、おまけに田舎ゆえ、ほとんど情報が無かったので、いきおい、テレビの歌謡曲や映画音楽くらいしか知らなかった。
けれど、自分でトランジスタ・ラジオを聞き始め、洋楽も聴くことができるようになると、ローリング・ストーンズやら、グランドファンク・レイルロードやら、バニラファッジ、サム・アンド・デイブなんかがお気に入りになった。
当時大ヒットしていた、サイモンとガーファンクルや、メリー・ホプキンなどが流れると、つまんなく感じて「早く終われ」と思った。
従って、自分が歌うときも激しく歌いたかったようだ。若者にありがちな、ただ闇雲にがなっているという、どうしようも無い歌い手であったけれど、それでも歌の仕事に就くことができた。

いまだに始終反省はする。
がなってはいけないでしょ。いい加減大人にならないとさ。
歳を取ればあれこれの怒りも収まり、人生に気も済んで、枯れた良い味の人になるのかと思っていた。落ち着いた、説得力のある、頼りがいのある大人。
ところが全く予想外れ。
還暦を過ぎても、嫌いな言葉は「小粋なジャズ」であったりはする。
小粋にスゥイングなんて、できませんとも。
ぐいぐいスゥイングならしたいけどね。

この欲はどこから湧いてくるのだろうか。
若い才能あるミュージシャンたちを見て、もう自分なんかが頑張らなくても、ジャズ界は安泰だろうと思いもする。多くの若者がジャズ界に参入してくれて安心もするのだが、それと自分の欲はまた別物のようで、いつまでも若い才能と張り合って、無駄な努力でもいいから続けていたいと思うのだ。
そうすることが楽しいのだろうね。
ああ、頑張りたい。昨日より少しでも良い演奏がしたい。そして、良いミュージシャンと出会いたい。
そういうことが、楽しすぎるのだと思う。
歳を取っても枯れないのだなぁ。
定年もないし。
このまま、倒れるまで頑張るんだろうなぁ。


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