2014年6月アーカイブ

6月のJazz Vo. Cafeは、8日に開催しました。
今回は、4ビートについて解説。
なぜなら、4ビートはジャズでしか使わないビートだからです。
ジャズ=4beatと言って良いくらい。
だから、ジャズボーカリストにはぜひ深い理解をして頂きたい。

8ビートや16ビート、あるいはボサやラテン系のリズムと較べ、どこが違うのか。
4分音符が4つで1小節、という、もっともシンプルな拍子がなぜこうも難しいのか。
その謎を解いていきます。
例えば、1拍ずつをオモテ・ウラや3連に分解してみて、発声しながらアクセントを加える練習をし、次に1拍ずつをできるだけ長く感じるにはどうすれば良いのか、訓練してみました。
また、1拍を分割する方法を用いて、ドラムのシンバル・レガートが作られていることを説明しました。

4beatがSwingと呼ばれるのは何故なのか、そして4beat独特のドライブ感はどのように生まれるのか、などについて熱をこめて話したつりです。

当初、最も基本的なものとして始まった4拍子=4beatが、様々なアーティストの演奏の中で、どれほど洗練され、発展してきたか。ビ・バップの目まぐるしいフレージング、モダンの新しいドライブ感が培われた過程が少しは伝わったでしょうか。

基礎練習の応用と歌覚えのコーナーは「How High The Moon」
4分音符ばかり続く曲を、スローやミデイアム・スローで歌うとなかなか難しいことを体験し、発声とリズム練習で習ったことを歌の中に応用してみました。
じつは、ボイストレーニングは、リズム感と組み合わせて初めて本当の効果が出ます。
声が良く出ていても、拍の長さが充分でないと正しい効果は現れません。
リスナーは、無意識に、歌手の声の微妙な強弱やニュアンスを聴き取っています。
1拍を長く十分に感じ、フレーズのロングトーンが効果的に使われ、音程の移動には自然なメリハリを与えながら表情を作ることで、鍛えられた声がさらなる表現力を得るのです。

実際に拍の長さなど、基本的な点に意識を集中して歌ってみると、みるみる効果が上がりました。
とても手応えのある、楽しい講座となりました。
しばしば、海外のジャズ・ミュージシャンを聴く。
(もちろん、クラシックもオペラもポピュラーの他のジャンルも聴くが)。
海外のミュージシャンの佇まいが、どことなく国内のそれと異なるのはなぜなのだろうか、と考えていた。
何か学ぶべき点はあるのか、それともそれぞれの個性について理解する方が良いのか。

そして、ふと、腑に落ちたことがあった。
一所懸命と一生懸命だ。

日本の音楽家は、その場でともに演奏する仲間や、オーディエンスに対して「一所懸命」な感じがする。
一期一会精神といっても良いけれど、この機会を大切に、今ここに居る人々と自分の精一杯を分かち合いたい、という雰囲気。

対して西欧の音楽家は、「一生懸命」に見える。
自分の個性、価値観などに嘘をつきたくない、自分の美意識を生涯にわたって懸命に確立するために音楽をやる。だからぶれない。自己の確立に一生を懸ける。

日本のパフォーマンスはサービス精神に満ちている。
「盛り上がる」も含め、熱をこめて訴えかけ、伝える。
それは、時に押しつけがましく感じられ、クールさに欠けたりする。
けれど、日本のライブシーンが、ほとんど友達同士の「行ってあげたり来てもらったり」に席巻されている状況を見ると、とても頷ける。
真剣に誰かの生き様を理解しようとして耳を傾けるよりは、多少の微笑ましさを感じながら、仲良し同士の鑑賞会をする方が、日本人のメンタリティーに合っている。
ライブがセッションと仲間内の交換ばかりになる危険はある。

西欧では、パフォーマーはどこまでも自己表現をしようとする。
自分だけの世界を追求している。
自分のスタイルを確立しようとして、オーディエンスが喜ぶか否かよりは、自分の理想の追求に精を出す。だから、いつの間にか、彼らのスタイルは必ず確立する。
けれど、齟齬ばかりにつきまとわれて神経症になりやすい。

この異なるふたつの姿勢が、とても面白いと思う。
アジアは芸能寄りであり、西欧は自己実現寄りである。
どちらも無くてはならない要素だから、世界中のほとんどの表現者がこの振れ幅のどこかに自分を位置づけて、多少行ったり来たりしながら活動している。

自分はどうなのかというと、かなり西欧寄りだと感じる。
仲間を作るのに抵抗がある。
楽しむのに抵抗がある。
そして勉強が好きだ。
しょうもない。


スガシカオさんが、CD買って下さいと呟いたら、反論も沢山来たみたいだ。
いわく、「業態がどんどん変わっているのだから、それに沿った活動方法を創り出すべき」
「ただ、CD買えって言うだけなんて怠慢だろ」
というような。

スガさんは、音質にこだわるアーティストです。
私のような弱小ジャズレーベルでも、経費は結構かかりますから、スガさんレベルなら多分その数十倍はかけているはず。当然、ダウンロード販売ではペイしないでしょう。

でもそこで、「音質なんかにこだわるな」とか、「ミュージシャンの稼ぎ方は変えなくてはならない」とか言われても、それもちょっと違うなぁ...、と感じる。

これまで、テクノロジーの変化に沿って音楽のマーケットはどんどん拡がってきた。
はじめは辻音楽士、それからコンサート、そしてレコード、CD。
実を言うと音楽マーケット最後の大爆発の時代に、私たちは居合わせた。
何しろジャズは、レコードの発明とレーベルの発展とともに広まった。
その後に、ロックが生まれてビートルズが伝説となり、映像が多用されてマイケルが伝説となった。
ここまでのマーケットは、倍々ゲーム。
録音技術のお陰で、ミュージシャンにも仕事がたくさんあった。

そして今は、カラオケとyoutubeの時代。
ライブはアマチュアの時代だ。

プロのミュージシャンはどこでお役に立てば良いのか、よく分からない。
しかし、多くのプロ・ミュージシャンたちには、確実に世界級の実力があり、日々素晴らしい演奏を続けている。

なので、私は記録としてそれらを残したいと願う。
これほどハイレベルな演奏をしている人々がいる、いた、ということを、できるだけ美しい形で残していきたいと思う。
全く儲からないけれど、赤字は出さないように頑張っている。

私のような一介の主婦でシンガーのお小遣いで運営しているのだから、それは大変だけれど、でも、やっぱり良いCDを残したい。
「そのうちCDなんて無くなるよ」と豪語する方たちに言いたい。
無くなるかも知れないが、現在、生涯を音楽に捧げているアーティストも居るのである、と。
そしてその人たちの演奏は、素晴らしく、貴重なのだと。

「一枚でも多く、良いCDを残すぞ!」
今の私の願いです。

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