エッセイ: 2010年7月アーカイブ

 手帳にぎっしりと予定が書き込まれていることを、好んだ時期もあった。

 ひとつの欄の中に隙間があると、ぜひとも何か入れないともったいないと思い、「原稿を書く」だとか、「事務仕事をやる」だとか、ついつい書き込んでしまうのだった。

 それが今や、予定欄には隙間をできるだけ、なるべく多く作らねば、と思うようになった。

 

 休日には、一日何も予定がないはずの日がある。のんびり起きて新聞を読み、ブランチを食べ、気が向くと洗濯をしまくり、ちょこっと掃除もし、それでもまだ午後2時だったりすると、絵の道具を広げて気負わずに描き、疲れるとおやつを食べ、テレビでスポーツ中継か、自然に関する番組を見て、自分の食べたいものを作り、本を読んで寝る。

 

 別に普通じゃん、という、この休日の過ごし方だが、私の場合、これが自分の体と心に馴染むまで、じつに半年くらいかかった。

 20歳頃から休みなく、仕事をずーっとやっていたためだ。

 その上、子育てという、仕事以上に休みのない毎日も続いていた。

 だから、今年の初めから、ついに土・日は休むぞ、と決めたにも拘わらず、休むことに馴染めず、身の置き所もなく、とても途惑った。

 持てあますので、当初は土日のどちらかを会社にいたり、そういう自分を反省して、家で休まなくてはならない、と心に言い聞かせたり。

 「休む」ということが、ソファの上でじっとしていなくてはならないことだと、変なプレッシャーを自分に課してひどく疲れたり。

 ワーカホリックとは思いたくない、と心的抵抗もするので、休み明けにはげっそり疲労して出社したりしていた。

 

 休みとは、言うまでもなく、じっと静かにしている日ではなく、自分の好きなことをする日のことだ。

 ところが、私の場合、仕事自体が好きなことなので、他に好きなことことを探し出さねばならない。

 音楽でも、文章を書くことでもなく、私が好きなこと。

 そして会社にいてはできないこと。

 

 それは、今のところ、テレビを見ること、絵を描くこと、料理をすること。  美術館に行くこと、買い物に出かけること。

 

 休日の過ごし方がうまく行くと、仕事がそれほど大変ではないと感じられる。

 ちょっとラッキー、と思う。

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