アンコールに弾く曲は?

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クラシックのコンサートに行くと、演奏者が拍手に応えて、最後に何度もステージに登場する。
結局、アンコールをやらされるわけだ。
本番演奏に対する賛辞なのか、アフターアワーズの催促なのかよく分からないが、とにかく、アンコールをやる。
多くの場合、バッハだったりする。
何故バッハかと言えば、完成された短い曲で、ソロでもできるから、かも知れない。

ホロヴィッツが晩年にコンチェルトを弾き、ショパンを弾いてから、アンコールに「トロイメライ」を弾くヴィデオがあった。
さんざん超絶技巧を見せておいて、後に、子供が練習するような曲を弾いて見せる。
最高峰の演奏家としての完成度を、粋な方法で見せたのだ。
こんなの、しのぎを削る演奏家の競争の中に於いては、なかなかできないことだ。

誰でも演奏できる曲ほど、真実の巧拙が分かる。
ジャズもそうかも知れない。
たとえばブルースほど、奏者の解放度合いを見るのに適した曲はない。

セッションに行くと、ボーカルの人たちが、最後にみんなで「All of Me」でもやりますか、と言いつつ、各自照れるような雰囲気が漂ったりする。
最も初心者が歌う曲をやるのは、今更だわ、と感じるのだろう。
けれど、私は「All Of Me」って難しい曲だと感じる。
上手く歌えることが少ない。
それでも、超初心者向けということになっているらしいので、みんな歌うのを恥ずかしがったりする。
不思議だ。

簡単に見えて覚えやすい曲には、じつのところとても難しい曲がたくさんある。
シンプルなので、歌いようでしか説得できない。
しかも、素晴らしい歌手の前例がたくさんあるのだ。
ますます歌い難い。
誰のコピーにもならず、自分のオリジナルで、しかもとても良い感じに歌うのは、とても大変。

クラシックのアンコールで弾かれることの多いバッハは、それとは少し違っていて、かなりの巧者でないと弾きこなせない。
でも、「トロイメライ」は、少し弾ければ結構良い音楽になる。
楽曲がそのようにできあがっている。
そのまま弾いて、素敵な曲。

そのまま弾いても素敵な曲は、少し練習すると弾けるようになり、弾いていて楽しい。
譜面のまま音楽になる。
発表会向きの曲集にはそういう曲が沢山載っている。

スタンダードにも、そのような曲がたくさんある。
そして、そういった曲は誰が歌っても一定の完成度を感じさせる。

私はそういう曲が割と苦手だ。
どうしても、私の編曲よりはオリジナルの方が良く感じる。
手の入れようがない。
挑戦を拒まれる。
どちらかと言えば私は、かなり歌いこなさないと、良い曲に聞こえないような曲が好きだ。
そのままではどうにもならない曲を、やりくりし、歌い様を考えてこなす。
その楽しさゆえに、スタンダードが大好きなのだ。

演奏する人によって違う曲のように様々な命を吹き込まれる。
そういう、不細工なスタンダードが大好きなのだ。

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このページは、kyokotadaが2013年9月 3日 15:30に書いたブログ記事です。

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