kyokotada: 2015年12月アーカイブ

2015年が過ぎようとしています。
今年の年末は、ライブ三昧。自分のライブも、親しい方たちのライブ観戦も、セッションも含めこれまでになく音楽と共に過ごしました。

そして、少し心境の変化が起きつつあります。
方向性を変えよう。
その思いが強くなりました。

生きていると、色々な事が起き、潮目が変わっていると感じることがあります。
それは、大きな事件がきっかけのこともあり、少しずつの違和感が募った結果のこともあり、様相は様々。
今回の変化は、小さいあれこれが積み重なった結果のようです。

9年前にスタジオを作ってから、地元の音楽や文化の発展に貢献できたら良いな、という気持ちで進んできました。音楽祭を企画したり、スタジオでセッションを開催したり、たくさんの生徒さんたちと歌の勉強もしてきました。
母校の軽音やジャズ研のOB会にも顔を出し、人を集めて交流してみたり。
そしてこの年末、そろそろそういうことは一段落かな、という気持ち。

今年の年末のライブは、いつもと違う設定でした。
ベースの金澤英明さんが1年間の活動の中で出会ったたくさんのミュージシャンとコラボするというもの。5日間にわたるこのイベント中、重鎮中牟礼貞則さんとのライブでは、本当にジャズを愛していて、これまで長年聴いてきたお客様の前で歌う機会を得ました。それは、深い感動を呼ぶライブでした。理解されている、という手応えへの感動。そして、素晴らしいラインナップの中に入れて頂けたという喜び。

このイベント、3日目のライブでは、これまで何度も聴いてきた、アーロン・チューライのピアノとTOKUのボーカルで、信じられないほど高度なコラボを聴きました。
世界級を目指す人々の精進の姿は、まさに近頃、幾分状況に対してシニカルになりつつあった私の眼を覚醒させてくれました。
そうだった、もっと本気で勉強しないと、と心から感じた次第。
自分のことにもっと、もっと真剣になろう。
歌うこと、理解すること、音楽を探すこと、創ること、そして感じること。
便利屋でいないで、しっかりと自分のことをやろう。

いつの間にか時は過ぎ、来年2016年は会社設立から10年目に当たります。
私は還暦を過ぎ、人生のエッセンスを表現に込めて良いと思える年齢になりました。
すでに、たくさんの世界級のミュージシャンと知り合っていて、すぐ隣にいてくれるのに、遠慮して一緒にやろうとすることに躊躇していた事にも気づかされました。

気づかぬうちに、私は滞っていたように思います。
怠けていたつもりはなかったけれど、少し視野が狭まっていました。

だから、今までと仕事の仕方が大きく変わるわけではありませんが、心映えは明るく開けて行くように思えます。

そんな今年の総括と、来年に向けての抱負です。
年が明けたら、すぐにレコーディングを始めます。
1年かけて、納得の行くものを創りたいと願っています。

皆様、今年もありがとうございました。
来年も、今まで以上に素晴らしいひとときをご一緒できますように。
どうぞ、佳いお年をお迎え下さい。

手仕事が好き

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時々描いている絵のために、紙と絵の具を買いに行った。
吉祥寺のキラリナというショッピングビルの中にあるユザワヤまで。
画材を置いているのは8階。9階は洋裁ものが多い。
8階に辿り着くと、入り口に毛糸が山積みになっている。
立ち止まる。昔良く編み物をしていた。北海道にいた頃は、中学生くらいから帽子や手袋を編んでいた。それからセーター、子どもたちのもの、膝掛けやマフラー。たくさん編んだなぁ。一時は輸入物の凝った毛糸を使ったりして。
懐かしくて思わず眺める。買いたいけれど、今回はがまん。

画材コーナーでは、紙を色々確かめる。今まではスケッチブックを使っていたけれど、数枚平行して描くことが多く、絵の具の乾くのを待つのが嫌だから、一枚ずつのを買おうとした。けれど、とっても高価。手頃なのはやや手触りが物足りない。それで、30シートのスケッチブックで妥協。
絵の具は、現在使っている、子どもの美術授業用使い残りセットにはない色がわんさか。日本の色もある。藤色とか萌葱とか。特色は少し高い。でも20%オフのセール中だったので10色ほど、これまであまり使っていない傾向の色を買う。
筆は子ども3人分あるので結構な数を持っているが、小さいものを3本。筆先が荒れると、繊細なところは書きづらいのです。
レジにぐるりと回ると、ビーズやら、マスキングテープやら、ハンドメイドものの材料がたくさん。こうなるといきなり気分が上がる。鼻の穴が膨らむ。

こんな時、私は本当にパフォーマー向きじゃないのだよね、と改めて思う。
ひとりで、無言で、手だけ動かしているのが本当に好きだ。
手芸屋さんに行くと、これまでやってきた色々な手仕事のことを思い出す。
編み物、縫い物、版画、絵画、書道。
そしてそれとよく似たプロセスなのが、料理と執筆、曲作り。

アイディアを基にして、コツコツと作業を繰り返し、形にする。
そこにあるものを材料に、アレンジしたり、組み合わせたり、ためつすがめつ直したり。
けれど、作ったものは必ず生活の中で使えるものであって欲しい。
ただの飾りとか、置物にはあまり興味が湧かないのだ。
子どもたちに作った体育着入れやお稽古バッグはいまだにライブや旅行の際の靴入れになっているし、ついでに作った袋物も衣装など小分けするのに重宝している。
赤ちゃん用に編んだレーシーなおくるみは、暖かい膝掛けに。
作ってもゴミにはしないぞ。

手芸屋さんを出て一階降りると大きい書店がある。
今回は、イラストレーターのソフトを解説した手引き書を数冊立ち読み。
逆引きのが欲しかったけれど、それはフォトショップのしかなく、次回までお預けにした。

その足でサムタイムに石井彰さんのトリオを聴きに行く。
大好きなトリオ。
石井さんは共演者でもあり、私のレーベルの大切なアーティストでもある。
チャボさんこと杉本智和さんのベースを久し振りに聴けるのが嬉しい。
先日私のレーベルからリーダーアルバム「Karate Chops」を出した江藤良人さんがドラム。
いつに増してセンシティブで自由でクリエイティブな演奏。
何もない空間に、こんなに豊かで美しい音楽を満たすなんて、本当に凄いなぁ、と改めて思い、音楽をやることの意義みたいなことに新鮮な気持ちが持てた。

久し振りのお休みは、このように幸せな、平和な一日となりました。
すべてに、感謝、感謝でございます。

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