Jazzをめぐる著作権事情

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世田谷区経堂にある「クレイジーラブ」というライブハウスに、JASRACから、数百万円の請求書が来た。即金で払えば半額にしてやるといわれたそうだ。つまり、長年そこでやってきたジャズやポップスのライブの曲にかかる著作権使用料を、数百万円とグロスで示し、即金なら半額という、結局絶対に計算していなく、分配もするのかどうか分からない請求をしたようなのだ。
マスターは、抵抗しながらも、結局それを払った。
店を潰さなかった、その心意気に賛同して、昨日、数多くのミュージシャンが高円寺のジロキチに集い、エイドのためのライブをした。

ジャズは、テーマを1コーラスやった後、各プレイヤーのアドリブになる。スゥイングやビーバップなどの時代の曲を、沢山のミュージシャンが知っていて共有し、打ち合わせもなくセッションする。
スタンダードには、いきなり曲を初めても、みんながその曲を題材としてきた歴史を使って演奏できる。それは、素晴らしい利点だ。他のジャンルの音楽ではあり得ない。
おまけに、使うのは初めと最後の2コーラス。
ライブハウスは、演奏を売っているのであって、曲を売ってはいない。
しかし、それに対して莫大な使用料を請求されたということ。

けれど、よく考えると、日本中にあるライブハウスの夜ごと演奏される全ての曲の著作権使用料を申請したとして、JASRAC側にそれらを正確に把握する処理能力はあるのだろうか。
分配までの手数を考えると、それはほとんど不可能に近い。毎日、1件の店で数十曲、それを数千店の店が申請したら、そして使用料を支払うとしたら。
その支払いのために日本中のライブハウスは潰れ、JASRACの社員だけが増えるはずだ。

著作権者から言わせてもらえば、私が作詞した数曲に対する著作権使用料は、毎年1万円に満たないため、と言う理由で延滞され続けてている。支払われていないのだ。そういう楽曲は数百万曲あるに違いない。ついに1万円に満たないまま、私が死んだら、どうなるのだろうか。それらの延滞金の行方はいずこに?

音楽が、著作権に守られているのは知っている。
けれども、それでライブハウスが立ちゆかないとして、仕方なく新手として、著作権がかからない新しいオリジナルばかりやることにしてしまったら。
コード進行だけ頂いて、別のメロディとタイトルをかざした曲、あるいはオリジナルだけを、毎夜、ライブハウスでやるとして。
いつか、ジャズは無くなり、スタンダードから上がる収益は皆無となる日が来るのか?
一体、それで良いのかな?

そのうち、ジャズのスタンダードだけで なく、いわゆる名曲が、全て同様の理由で使い捨てされていくのではなかろうか?

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このページは、kyokotadaが2014年11月10日 13:00に書いたブログ記事です。

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