エッセイ: 2011年11月アーカイブ

人生の不思議

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この頃ふと、私の人生の不思議について考える。
なぜ、ここでこのような仕事をしているのか、ということである。

子どもの頃、よく親に「何が大事か考えろ」とか、「資格や安定を優先しろ」と言われた。
うちは、歯科開業医で兄で3代目だった。弟は精神科の医者になった。それぞれの奥さんたちも、医者の娘だったり、姉妹で医者に嫁いでいたりと、何か次々と医者が出てくるのだった。

わたしは金輪際、医者系は駄目だった。
本を読むのとバンドをやることに生涯をかけた。
親の目から見ると、激しくふらふらしていたらしい。
勘当されたくらいだ。
しかし、私は、自分の性格では、そうしていないと生きられないと、不確かながら感じていたのだ。

中学生の時、グループサウンズが大好きで、特にショーケンが好きだった。
後に、夫がショーケンのツアーのバックをしたので、打ち上げで握手してもらった。
その時、隣に内田裕也がいた。
私は何でここにいるのだろう、と不思議な感じがした。

歌手の道は半ばだったが、26歳でいったん中止し、せっせと子育てをし、自宅でライター仕事をした。
本が10何冊か出た。
そのうち、歌を再開しようよと励まされ、再開して、かつて共に頑張っていた仲間たちと再会。
みんな押しも押されぬミュージシャンになっていた。
事業をしていた大学のサークル仲間からスタジオの設立に誘われて、立ち上げと運営に関して色々企画しているうちに、レーベルもできた。その時点でスタジオの借財から自由にして頂き、レーベルと教室に全力投球できることになった。

私のレーベルからは、昔の音楽仲間たちが次々とリーダー・アルバムをリリースしてくれたので、そろそろ10タイトルになる。
そして、今現在手がけているアルバムは、ギターの重鎮、中牟礼貞則さんを囲むトリビュート盤。
ゲストに村上ポンタ秀一、金澤英明、石井彰、渡辺香津美、小沼ようすけ、TOKU、ケイコ・リー、フライド・プライド。
これは凄い。
信じられない。
プロダクションやレコード会社、ライブハウスなどと連絡を取り合っている自分を、別の自分が不思議な感覚で眺めている。
だって、こんなつもりじゃなかったし。

実家では、いつも訳の分からない困った娘扱いだった。
娘、といってももうそろそろ孫ができそうな年齢だが、つい数年前まで、自分がこんなことをしているなんて、ちょっとも、夢にも思わなかった。
じつに不思議だ。
ただ、ただ、不思議だ。

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