エッセイ: 2013年7月アーカイブ

人生の時間は長くて短い。
子育てしていた若い日々は、日が過ぎず、まるで永遠のように感じた。
この数年は飛び去るように早い。
一日の内容が薄くなると、速度が増すようだ。

私の住む団地は、8階建てのマンションが12棟ある。分譲で自主管理。
私も以前、管理組合の理事や修繕委員会などを経験した。

号棟ごとに棲む人の雰囲気が違っている。
私の棟は、目の前がテニスコートなので、テニスをする人が多く、いくつかのグループができている。ソフトボールをやるおじさんチームも、二世も参加の時代に入ってますます元気。
昨日、号棟の親睦会をやった。民生委員さんもうちの棟なので、彼から高齢化についてのお話。なんと720戸ある団地の居住者全員の平均年齢が70代に突入したというではないか。驚いた。
我が家が引っ越して来たのは、次女が生まれてすぐの1985年。その頃は、周囲の皆さんがばりばりの活躍で、3日にわたる盛大すぎる夏祭りまでやっていた。

昨日の参加者の最高齢は、91歳。お元気で声もはっきり。
それにしても、時は確実に過ぎるのだなぁと、しみじみ。
我が家の三人の子どもたちはみんなここで育ち、巣立って行った。
たまに戻って来ると、ご近所の方たちとしばしの挨拶。
「立派になったわねー」
ついこの間まで、ジャージに鞄の中学生だったのに、もうスーツを着ている。
お化粧している。そしていつか、子どもを連れている。

子育てが大変だった頃、三人は荷が重いと思ったけれど、いつの間にか何とかなっていた。
ご近所の皆さんにずいぶん救われた。
そして、ついに夫と二人だけとなると、いがみ合うのも阿呆らしく、何もかもどうでもいい感じである。
互いに愚痴っているのだが、じつは何も聞いていない。
何度同じ話をしても、聞いていないからしかめ面をするほどでもなく、ふんふんとただ相づちだけ打っている。
夫婦長年の格闘は、この頷きのためだけにあったのではないか。
きっと一人だと、愚痴も言わない。多分、笑いもしない。
夫でなくても、誰かと居るということは、そして、互いに何も聞いていないから腹も立たないような気の置けない誰かを得ることが、良いことのような気がして来た。

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